この記事を読んで分かること
- 教師が民間企業への転職が難しいと言われる理由がわかる
Kurin(くりん)です
世間では終身雇用の感覚が以前よりも薄れ、転職に対するイメージも変わってきました。
マイナビの調べによれば2023年度の転職率は7.5%と過去10年では最高の水準となっています。
そんな加熱する転職市場で、以前と変わらず孤立した存在である教師。
教師は転職できない
転職をしても元教師は使えない
というイメージも色濃く、ハードルが高く感じてしまいます。
今回は
どうして教師は転職できないと言われるのか?
その難易度の高さの背景にあるものを実体験を踏まえて解説します!
なぜ使えない?教員からの転職が難しいと言われる5個の理由
- 追求する利益の違い
- 教師という仕事のイメージ
- 類似職種が限られている
- 待遇・給与の水準の高さ
- 大学で学ぶ学問の違い
教師が民間企業への転職を目指す際に壁となるものを分類すると
教師と民間企業の建付けやイメージの違い(①②)
教師の待遇や応募条件に関する問題(③④)
教師という職業の特異性(⑤⑥)
に分かれます。
ここからはこれらをひとつずつ解説していきたいと思います。
教員から民間企業への転職が難しいと言われる理由①
追求する利益の違い
教師と民間企業はその存在理由が根本から異なっています。
教師の追求する利益 | 民間企業の追求する利益 |
---|---|
児童生徒の自己実現 | 民間企業の金銭的利益 |
他者のため | 自己のため |
教育活動の提供 | 自社サービスの提供 |
このように教師と民間企業では
追求する利益
利益を享受する存在
提供するサービスの内容
これらが根本的に異なります。
ご存知の通り、教師が従事する学校教育は児童生徒の自己実現のために存在します。
進路実現や部活動での自己実現…。
その他、日々の様々な場面での生徒の成長のために日々教育活動を行っています。
私学であると”学校の利益のため”という意識が含まれますが、国公立の学校の場合は学校の利益よりも子どもたちの利益が最優先されます。
そのため最近では
学校のブラック化
自己犠牲的な働き方
が問題となってきていますね。
公務員は”全体の奉仕者”ですから、どんなときも国民、県民のために働く職務専念義務があります。
副業が禁止されているのもこの観点からですね。
そのため教育活動に従事し、どれだけ成果を出した(子どもたちの自己実現をサポートした)からと言って待遇の面で自分自身に返ってくるものに変化はありません。
子どもたちの力になれてよかった、成長を見届けることができたというやりがいは何にも変えがたいものでもありますよね。
一方、民間企業で追求されるのは金銭的利益です。
サービスを世の中に提供することで社会的課題の解決や生活の充実に寄与しているという部分では社会貢献によるやりがいがあるとも言えます。
しかし、そこまで考えながら業務に従事している会社員は多くはないと思います。
自分自身の働きが評価され、それによって昇進や昇給が起こります。
会社のサービス提供も自分自身の働きも金銭が関係してくるということですね。
この
金銭的な利益追求をした経験の有無
から”教師は使えない”というイメージを持たれることがあります。
金銭的利益追求をしたことがないというのは事実ですが、これに対してきちんと対応することもできます。
それに関しては次の項目で説明したいと思います。
教員から民間企業への転職が難しいと言われる理由②
教師という仕事のイメージ
私はある企業の面接において
教師は数字を追った経験なんか無いのに営業職が務まると思っているんですか?
とかなりトゲのある言い方をされたことがあります。
これは
金銭的利益を追求した経験がない=数字を追った経験がない
という理屈からくる指摘のようです。
これはクレーム的な指摘に対する適性を見るために言われたのかもしれませんが…。
この指摘には明確に
教師は数字を追った経験がある
といえます。
先述の通り、教師にとっての利益は子どもたちの自己実現です。
それを達成するために教育活動を行っていますが、
教師は子どもたちと一緒に過ごして、授業をしたり、クラブを教えたりしているだけでしょ?
としか考えない方が非常に多いです。
これは
誰もが学校という場所に通い、
誰もが教師という存在を子どもの立場から接したことがある
という経験がそうさせているのだと思います。
教師をされている方ならよくおわかりだと思いますが、”何となく”行っているものはありませんよね。
各授業での達成目標
どのような教材を使用するのか
発問や板書…。
クラブ指導でも、学級運営でも同じです。
そしてそれらがあらゆる場面での自己実現を達成しやすくすることに繋がっています。
数字を追う経験と言えば
定期考査でのテストの点数
高校や大学への合格者数、合格率
担任クラスや学年生徒の欠席数、遅刻数
生活指導の指導件数
部活動での大会結果
などを挙げることができます。
生徒がより成長できるように、学校を居場所だと感じてもらえるように、希望の進路に進めるように…。
それらを数値化する場面は案外多いものです。
そういった場面でより効果を発揮するために日々教育活動を振り返り、業務改善を行っています。
この”成果を出すために業務改善を繰り返す”という姿勢は専門分野がことなるというだけで、民間企業と何ら変わりません。
それは説明をすれば明らかなのにもかかわらず、子どもという精神的にも幼く、世間も知らない立場から教師を見た経験が共通してあることから偏ったイメージを持たれることが多く、それが
”教師は民間企業では使えない”
という偏見へと繋がっていってしまいます。
教員から民間企業への転職が難しいと言われる理由③
類似職種が限られている
とはいえ、
教師は民間企業では使えない
と言われてしまうのを完全に否定することもできません。
なぜなら教師という職種が属するのは”教育”しか無いからです。
営業 | 販売・フード アミューズメント | 医療・福祉 | 企画・経営 |
建築・土木 | ITエンジニア | 電気・電子 機械・半導体 | 医薬・食品 科学・素材 |
コンサルタント・金融 不動産専門職 | クリエイティブ | 技能工・説部・配送 農林水産 他 | 公共サービス |
管理・事務 | 美容・ブライダル ホテル・交通 | 保育・教育・通訳 | WEB・ゲーム インターネット |
マイナビ転職での分類を見ると、教師は【保育・教育・通訳】の中に分類されます。
そしてそれらが属する業界の分類はこちら。
農業・林業 | 漁業 | 鉱業・採石業 砂利採取業 | 建設業 | 製造業 |
電気・ガス 熱供給・水道業 | 情報・通信業 | 運輸業・郵便業 | 卸売業・小売業 | 金融業・保険業 |
不動産業 物品賃貸業 | 学術研究・専門技術サービス業 | 宿泊業 | 飲食サービス業 | 生活関連サービス業・娯楽業 |
教育・学習支援業 | 医療・福祉 | 複合サービス事業 | サービス業(他に分類されないもの) | 公務(他に分類されるものを除く) |
「日本産業分類」では【教育・学習支援業】に分類され、それ以外に分類されることはありません。
営業、事務、企画経営、ITエンジニアなどは複数の業界を横断する職種ですね。
こういった業界の場合は他業界へ移る場合はその職種の経験をアピールできます。
また
営業・企画経営・コンサルティング
といった職種間にも似通った部分を見出すことができます。
共通点をイメージをするのも簡単です!
その一方で、
教師は営業と共通点がある!
教師はコンサルティングと共通点がある!
といってもそれをすんなり受け入れられる方は少ないですよね。
- プレゼン力、人前で話す経験
- 自己実現をサポートした伴走経験
- 傾聴力
- タスク・スケジュール管理(顧客)
- 同僚への指導経験
- タスク・スケジュール管理(自分)
- 業務改善経験
- 基本的なパソコンスキル
こちらは私が実際に使用した自己アピールで、これを見ると多職種との相関も見出すことはできそうです。
この全てが教師の経験から導き出したものです!
ただそれは
教師の経験を一般化することで、使える経験を見出すことが出来る
というだけで教育以外の全ての業界、教師以外の全ての職種が未経験であるのは間違いありません。
他の職種は業界か多職種に類似点を簡単に見出すことが出来るものも多いです。
それができないのが教師が民間企業へ転職するのが難しいと言われる理由のひとつです。
教員から民間企業への転職が難しいと言われる理由④
待遇・給与の水準の高さ
種類 | 平均年収 |
---|---|
小・中学校教師 | 740万円 |
高等学校教師 | 680万円 |
会社員 | 461万円 |
公務員は安定している
という話をよく聞きますがそれは業績の影響を受けない、母体がなくならないという意味だけではありません。
年功序列で上昇する給与
有給休暇の保有量
産休・育休・病休の充実
といった業務内容以外のほとんどが民間企業と比べて豊富であると言えます。
突き抜けないかわりに、取りこぼされることもない。
それが公務員である教師の良さですね。
私がいた自治体は年間で30日の有給休暇(20日+前年度から10日分持ち越し可能)を利用することができましたし、産休・育休では給与が全て出るわけではありませんが、教諭という待遇のまま2年ほど休暇を取ることもできました。
給与水準や保有する有給数、その他福利厚生の部分が同じレベルの企業を探すとなると一筋縄ではなく、見つかったとしても採用までの難易度がかなり高くなってしまいます。
業界・職種未経験の立場で採用を勝ち取るのは至難の業です。
そういった意味でも教師から民間企業への転職は難しいと言えます。
そのため給与などが下がってしまうのも覚悟の上での転職になっていましますね。
教員から民間企業への転職が難しいと言われる理由⑤
大学で学ぶ学問の違い
教師の民間企業への転職が難しいと言われるのは、教師という職業以外にも理由を見出すことができます。
それが大学時代の専攻です。
教員免許は大学で特定のカリキュラムを修得し、指定された実習に参加することで取得することができます。
そして取得する教科によって専門のカリキュラムが異なっており、学部によって取得できる校種や教科が異なります。
教師になるための専門学部として教育学部がありますが、それ以外の学部でも教員免許は取得できます。
私個人の感覚としては教育学部以外の出身学部は文系は文学部、理系は理学部が多いように感じます。
私は高校の国語教師でしたが文学部出身、日本文学を選考しました。
文学部というと世間的には就職には不利な学部であると言われます。
こういった教師にならなかったとしても民間企業への就職に不利な可能性のある、といえます。
転職活動をする際に教師以外の来歴を話すこともあるかと思いますが、そこでアピールに足る話がしづらいのも要因の一つかもしれませんね。
教師から民間企業への転職は難しいと言われるが、不可能ではない!
ここまで5つの理由を挙げて
教師から民間企業への転職が困難である
ということを解説してきました。
しかし、完全に無理なのかと言うとそうではありません。
私を含む多くの先人達が、転職を実現させているからです。
とはいえ他の業界・他の職種からの転職を希望される方よりも不利であることには代わりありません。
その逆境を覆すための方法、必勝法はあります。
その方法をまとめたシリーズ”教師のための”転職完全マニュアルを用意していますので、ぜひご活用ください!
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