私は今、大切なものに囲まれて仕事をしている。
”囲まれて”とは書いたがものであふれているわけではない。
現在私は地元を離れ、隣県に通勤している。
これまで勤めてきた教師という仕事は県の教育委員会の採用であるため、県内での異動はあるものの県外交流を自ら希望しない限りは県外へ勤めるということはまずない。
住み慣れた生活圏内に勤めると、休みの日には仕事に関係のある人に出会うかもしれないという思いが心のどこかにある。
それが現在では完全になくなり、休日に仕事を結びつけるのは社用スマホだけになった。
その一方で、隣県に通勤することで勤務中は私だけが家族の輪の外に出たような感覚になる。
電車を降りて都会を歩くときには孤独を感じる。
地下道を歩き、地上に出たときに大きなビルを見上げると特に独りで戦いに来ているのを痛感する。
仕事をしていても、新しい環境に挑みに来ているという感覚は入職して半年ほどになるが抜けない。
疲れてきた時や上手くいかないときには心細くなる。
そんな時には大切なものたちを見つめるようにしている。
私用スマホの待ち受け画面はタップすると画像を切り替えられる。
妻2人で撮った写真、結婚式での家族写真、祖母の写真、愛犬の写真…。
大切な思い出たちに気持ちを支えてもらう。
身に着けるものも同じだ。
転職祝いに妻から送ってもらったネクタイ。
”新しい仕事で着るものを買いに行く”と妻と買い物に付き合ってもらって購入したスラックスやベルト、Yシャツ。
母から貰った定期入れ。
筆記用具にも1つ1つに思い出があるし、名刺入れも教師時代の同僚から贈ってもらったものだ。
辛くなった時には大切なものに触れる。
みんな自分を応援して、見送ってくれた。
仕事に慣れてくるとそんな気持ちも薄くなってくるし、上手くいかないことがあると入職を後悔しそうになることもある。
教師に戻ろうかな…なんて思わないこともない。
でも、そんな自分のことを思ってくれた人たちに貰ったものに触れると、
こんなところで負けてられない
と力を与えてもらえる。
辛いことがないとは言えない。
こんなはずじゃなかったな、なんて思わないこともない。
でもみんなに応援して貰ったから頑張れているよ。
大変なこともあるけれど前向きに働いているよ。
と言えるようにこれからも大切なものに囲まれながら仕事をしたい。
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